プロレスのミドコロ

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「NEW JAPAN CUP」に臨む5人の男

2019.3.6 新日本プロレス旗揚げ記念日。
昨日は速報という形で簡単に振り返りました。

pro-wrestler.hatenablog.com


今日は改めて、メインイベント後にリングに立っていた5人のレスラーについて、「NEW JAPAN CUP」の展望と共に、詳しく振り返っていきたいと思います。

最後にリングに立っていた5人


メインイベントはIWGPヘビー級チャンピオン「ジェイ・ホワイト選手」とNEVER無差別級チャンピオン「ウィル・オスプレイ選手」のスペシャルマッチ。

ジェイ選手は勝利した後、ヒールレスラーらしく敗れたオスプレイ選手にパイプ椅子を見舞おうとします。その時、解説していた「飯伏幸太選手」がスーツ姿のまま救出に入りました。

しかし今度はBULLET CLUB(ジェイ選手が所属するヒール軍団)の面々が乱入し、飯伏選手に攻撃を加えます。そこに駆け付けたのが「棚橋弘至選手」「オカダカズチカ選手」「後藤洋央紀選手」の3人。
ジェイ選手が引き揚げた後、リングに立っていたのは試合に敗れたオスプレイ選手と救出に入った4人、合わせて5人のレスラーでした。


5人は顔を合わせながら、マイクは使わず、それぞれが「自分が優勝するんだ」というアピールを行い、一人ずつ引き上げていきました。
もちろん、優勝の先には4.6マディソン・スクウェア・ガーデンで、IWGPヘビー級のタイトルマッチが待っています。

 

負けるたびに強くなる、ウィル・オスプレイ


メインイベントでは惜しくもジェイ選手に敗れてしまったオスプレイ選手。
約1年前のことを考えると、強さも、ネームバリューも、オスプレイ選手の方に軍配が上がる状況だったと思います。
実際に二人は外国の団体の試合で対戦したことがあり、その時はオスプレイ選手が勝利しています。

(裏を返せば、ジェイ選手がとんでもないスピードでチャンピオンまで上り詰めた証でもあります)

オスプレイ選手は、戦前のインタビューでそんなジェイ選手の成長を認めながらも、「自分も成長しているから、負けるはずがない」と話していました。

「ジェイにできて俺に出来ない訳はない」

そんな思いがにじんでいるように感じました。

 

昨日の試合では持ち前の空中殺法とパワーで、あわやの場面を何度も作り出しました。特にライガーボムのような強烈な技が決まった瞬間は「もしや・・・」、と思わせてくれました。

内容的には惜敗なんだと思います。
でも何故か、ジェイ選手に余裕があるように感じられました。

憎たらしいそぶりがそう思わせるのか、
試合後もすぐに立ち上がり、椅子で攻撃しようとする姿勢にそう感じるのか、
コメントからそう感じるのか、
そのすべてからなのか・・・


旗揚げ記念日のメインイベントに、IWGPヘビー級のチャンピオンがリングに立つのは、言ってみれば当然な流れ。
一方のNEVER無差別級チャンピオンであるオスプレイ選手は、1.4東京ドームで飯伏幸太選手を破ったのを皮切りに、名のあるヘビー級の選手を次々に撃破して、この試合にたどり着きました。

もしかしたら、ここまで積み上げた自信を砕かれてしまう敗戦だったかもしれません。
IWGPヘビーとの差を感じて・・・


でもここからが、オスプレイ選手の真骨頂です。

オスプレイ選手の体重は100㎏未満。これまでジュニアヘビー級で戦ってきました。
オスプレイ選手が新日本プロレスで試合をし始めた頃、当時チャンピオンだったKUSHIDA選手に、どうしても勝てない時期が続いていました。
確か3度目の挑戦でも勝てなかったとき、バックステージで人目をはばからず泣いていたのが印象に残っています。

しかし、その後ついにKUSHIDA選手の壁を破ってからは、ジュニアヘビー級で無類の強さを発揮するようになりました。
負けて負けて、強くなる。それがオスプレイ選手の持つ力。

NEVERのベルトを戴冠してから、今後オスプレイ選手はヘビー級に行くのかジュニアヘビー級に留まるのか、なんとなくヘビー級に行きたがっているような発言は散見されるものの、まだ明言はされていません。

そんな中でエントリーされた「NEW JAPAN CUP」。
トーナメントが始まる前に、現在のIWGPヘビー級チャンピオンの強さを肌で感じることができた財産が、どのような形で戦いに作用するのでしょうか。

 

6人タッグを戦った3人に希望はあるか

昨日の大会、メインイベント直前の6人タッグで棚橋選手、オカダ選手、後藤選手はタッグを組みました。

そして試合に勝利した後、リング上からそれぞれがマイクで「NEW JAPAN CUP」の優勝宣言を行いました。

最近の3人の状況を確認すると

「後藤選手」
NEVER無差別級のチャンピオンでしたが、指名した飯伏選手に敗れ陥落。
その後、あまり目立った動きなし。

「オカダ選手」
昨年6月、ケニーオメガ選手に敗れIWGPヘビー級チャンピオンから陥落。
その後「この試合を勝てばタイトルマッチにつながるかも」という試合で敗北が続く。
2月大阪大会で、バッドラック・ファレ選手と戦い、オカダ選手らしい勝ち方を久々に披露。

「棚橋選手」
昨年、夏の祭典「G1CLIMAX」を優勝。
今年1.4東京ドーム大会ではケニー・オメガ選手を破り、約4年ぶりにIWGPヘビー級チャンピオンに返り 咲くも、2月大阪大会の初防衛戦でジェイ・ホワイト選手に敗れ、一度も防衛できずに陥落。


少しだけ調子を取り戻してきたかな、と感じられるのがオカダ選手ですが、
全体的にはあまり勢いが感じられない状態です。
1回戦、2回戦と戦っていくうちに、波に乗れるかどうかがポイントになるでしょうか。

メインイベント終了後のコメントで後藤選手が
ジェイ・ホワイト、俺たち全員がお前の首を狙っているっていうことを、忘れんじゃねぇぞ」と言いました。

「俺たち全員」じゃなくて「俺が」と言ってほしかった。
アピール不足な感が否めず、少し残念でした。

 

「決断」をした男の真価が問われる

飯伏幸太選手は、以前の記事で触れた棚橋選手との関係性について、興味深いコメントをしてくれました。

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棚橋選手は飯伏選手のことを「プロレス界全体を背負って立つ」存在と評し、ケニー・オメガ選手と共闘していた飯伏選手に問いかけを続けていました。

そして飯伏選手は、ケニー選手と共に「AEW」に行くことはせず、新日本プロレスに専念する道を選びました。


メインイベント終了後のコメントブースで、飯伏選手は

「やっと自分の考えで決断することができました。本当に、本当に、棚橋さん、ありがとうございます」

と、隣にいた棚橋選手に伝えていました。


何かを決めた人間は、確実に強くなると思います。
飯伏選手の「決断」が本物かどうか、試される場所が「NEW JAPAN CUP」。
初戦の相手は、同い年であり、現在のプロレス界で最高の人気を誇る「内藤哲也選手」。

ここ最近は分が悪い相手ですが、果たしてどのような戦いになるのでしょうか。
覚醒する飯伏選手に期待したいです。