プロレスのミドコロ

プロレス大好きな管理者が、プロレスのミドコロを丁寧に解説

謎かけの答え=棚橋の限界。小細工なしの勝負は気持ちいい!! 3.23NJC準決勝

とうとうNJCも準決勝まできました。

先に結果を書いてしまいますが、

勝戦のカードは「オカダ vs SANADA」。

うん、楽しみなカードです。

準決勝にふさわしい、それぞれ色の違う戦いを経て、
いよいよ決勝戦ですね。

まずは準決勝の振り返りから。

 無骨な器用

石井選手はブレない。
全部、石井選手の試合にしてしまう。
一種のブランド化する能力なんでしょうね。

正面からぶつかり合うには、
自分のスタイルを貫き通すだけでなく、
相手に合わせた試合を展開しなければなりません。
それができるのだから、
石井選手は不器用ではなく、紛れもない器用なレスラー。

試合内容と体つきが無骨に見えてしまうだけ。

そして、普段は単純明快な試合を見せてくれますが、
ここ一番、特に実績が上の相手と試合をするときに、
スペシャルな引き出し」を開けてくれます。

この試合の「スペシャルな引き出し」は、
一本背負い(巻き投げ)」からの「腕ひしぎ逆十字」。
オカダ選手の腕の伸び具合がヤバかったです。

オカダ選手も負けず嫌いだから、試合がスパークしないはずはなく、
観ている側は、「限界はどこにあるのか」という気持ちになる。
2人は、更にその上を行くから、歓声が出ないはずがない。

一進一退の攻防の中、
最後はレインメーカーを喰らって万事休す。

もちろん本人は結果に納得していないと思いますが、
小細工なしの真っ向勝負はとても気持ちがよかった。
個人的に、NJCのMVPは石井選手で決まりです。

復調のレインメーカー

そして、どんな引き出しにも対応できる力を持つのが
レインメーカー」。

本当に「強いオカダ選手が戻ってきたな」と思わせる勝利でした。
ベルトを落としてからは、
どうしても粘り切れない試合が続いていましたが、
この大会で
エルガン選手、オスプレイ選手、石井選手の攻撃をしのいで
勝利に結びつけてきた姿、
それはワンランク上のプロレスを体現してくれていた、
誰も倒す姿を想像できなかったオカダ選手に近づいています。

ジェイ・ホワイト選手に2連敗。
オカダ選手の本心はコメントからでは読みづらいのですが、
何かしらの分析と対策はしているはず、と予測しています。

少し前に、ちょっとふざけたテイストの記事を書きました。

pro-wrestler.hatenablog.com

その中でも「ジェイは初見では倒せない」
ここだけはまじめな意見。

リベンジを果たす機会まで、あと一つ。

絶妙なタイミングで繰り出される「ブレードランナー」を、
どうやってしのいで、
どうやって「レインメーカー」につなげるのか?

その様子を早く見たいのは、私だけではないと思います。

跳べない棚橋に新技はなかった

結論として、簡単にフィニッシュホールドは見つからなかった、
ということだと思います。

今の身体で、今できる精一杯を体現する。
一方で、ただ試合に勝つだけでは許されないのが棚橋弘至というレスラー。
全ての試合にテーマを持たせようとする、稀代の表現者

海野選手との試合では、掟破りでかけられた「テキサスクローバーホールド」を、
「本家はこうやるんだよ」と逆に繰り出し勝利。

田口選手との試合では、つなぎで出した「ドラゴンスープレックス」で
試合が決まってしまった印象。
すかさずコメントで、藤波選手が初めてマディソンスクウェアガーデンで
ドラゴンスープレックスを披露したことに引っ掛けて、
「カムバック・ドラゴン」と、あたかも必然であったかのように装います。

そしてザック選手との試合では、
相手のフィールドでの勝負を挑み、
「ジャパニーズレッグロールクラッチホールド」で勝利。
相手のお株を奪う技で決めることで、勝利に意味を持たせていました。

「意味を持たせていた」≠「意味を持たせる余裕があった」
「意味を持たせていた」=「意味を持っているように見せるしかなかった」

SANADA選手も、どちらかといえば的確なテクニックを基本とする選手。
ザック選手に負けず劣らずの攻防を行える選手です。

だから「ジャパニーズレッグロールクラッチホールド」で
意味を持たせようとした。

でも、今の勢いのあるSANADA選手には通用しなかったということでしょうか。
既に準々決勝で手の内を見せていたこともあるのでしょう。
そして「説得力のある新技」ではなく、
「意味を持っているように見せる」だけの技だったから、
対応されてしまいました。

今大会における謎かけの答えは、新技がなかった。
イコール、棚橋選手の限界。

だけどそれは、棚橋選手のレスラーとしての限界なのか?
それとも、現状の棚橋選手の限界なのか?

試合後「ハイフライ・・・うちてぇなぁ」とつぶやく棚橋選手。
後者であれば、またG1あたりに巻き返してきてくれるでしょう。

今度こそ、フィニッシュホールドを引っ提げて!
(それがハイフライなのか、新技なのか・・・
う~ん、結局謎かけは続くのかも・・・)

non「Cold Skull」 He is 「Hot Skull」

期待され続けていた男が、遂に結果を出すのだろうか!?
棚橋選手の限界は感じたものの、攻め自体は厳しいものがありました。
それをかいくぐっての勝利。
そして、決勝。

全日本プロレス時代から抜群の身体能力で、
魅せるプロレスができているな、という印象でした。

特に、ムーンサルトプレスは多くの選手ができるけど、
「ラウンディング・ボディプレス」と呼んでいいのは、
武藤敬司選手とSANADA選手だけ。
独特の弧を描く飛び方と落ち方には、いつも心を奪われていました。
でも、結果がなかなかついてこない。

新日本プロレスに参戦するようになっても、
シングル戦線ではなかなか結果を残せない日々。

EVIL選手とタッグのベルトを巻いたあたりから、少しずつ変化が現れ、
最近は戦い方が明らかに変わってきました。

観客の目を意識したレスリングができるようになってきました。
緩急の使い訳が絶妙になってきました。
「パラダイスロック」など、周囲を巻き込むことも覚えました。

「制御不能」「自由」。
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン入りは正解だったのでしょう。
そして、試合後の表情は「Cold」ではなく「Hot」。
のびてきた髪が乱れる感じも、ワイルドでアクセントになってきています。

以前に実現したオカダ戦では、
善戦はしたものの、やはり「差があるな」という印象は拭えませんでした。

しかし、
今大会のSANADA選手なら、やってくれるのではないか?
そんな雰囲気は確実に出てきました。

様々な序列を一気に突き崩すチャンス!
勝戦でもサムズアップが見れるかもしれません。

<2019NJC 決勝戦 オカダ・カズチカ vs SANADA>